■ ラ線上の真実 2 ■
 A5フルカラー  84P 170g 平新
¥ 900  (210円)
Novel  綾部 澪
 / Illustration  小椋さよこ さま
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 あの、一つの言葉が「日常」を「日常」でなくした。


 「日常」と「非日常」の境界線をあえて引くとしたら、
 ここでくっきりと、引かれるのだろう。
 そんなくだらない思考が、脳裏を過ぎった。

 だが――。
 そう思った瞬間、
 「非日常」は「日常」に埋没した。


 コナン ―― 4、

 平次が脱ぎ散らかしたスニーカーを、ちらりと見やったコナンは、小さく息をついた。
「ったく、靴ぐらいそろえて上がれよな。子供じゃあるまいし」
 言いながら、薄汚れたスニーカーをよくよく見ると、つま先にどす黒いものが付いていた。多分、昨日切りつけられた時についた血だろう。
 それから、すいっと目をそらしたコナンは、平次の姿を目で追った。とうの昔にリビングの手前まで行っていた、平次の背中を見やったコナンは、再度溜息をつくとスニーカーを足で適当にそろえた。
 そして、自分は靴をしっかりとそろえて脱いで、コナンは平次の後を追った。

『調べる言うとるのは、別に工藤の為だけやないで』

 そう言った平次の声が、耳について離れなかった。